2007年10月30日

見て楽し、読んで楽し 〜葉鳥ビスコ「桜蘭高校ホスト部」1〜10巻

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なんで8巻なんて中途半端な巻の画像なのかというとですね、表紙の金色夜叉なコスプレ(?)のモリ先輩にヤラレたからなのです。
浜辺ですがりつきたい!(ん?金色夜叉ってそういう話でいいんだっけ? いろいろと見切り発車な文章だ…)


噂のホスト部をようやく読むことができました。
貸してくれた後輩様、ありがとう! ていうか私、色んな人から借りてばっかりだ。そんで自分はあんまり貸してない…うう…ギブ&テイクが成立してなくてごめんなさい…


これは読んでてとても楽しい漫画です。
超セレブ高校の美形セレブ男子たちが、セレブ女子をおもてなしするために発足させた「ホスト部」。
暇を持て余したセレブがやることなので、とにかく何に対してもお金をかける。
毎回ゴージャスなコスプレ衣装でのお出迎えとか、適材適所のサービス内容とか。これは楽しい。見てるだけで楽しい。
幕末コスプレが一番(私の中で)盛り上がった。


そんなセレブ達の烏合の衆の中へ入りこんだ庶民の特待生・藤岡ハルヒは、借金返済のために強制的にホスト部に入部させられる。
女子にも人気上々のハルヒですが、実は女の子なのでした。
ハルヒ自身は別に女だということを隠してるわけじゃないし、バレたところでかまわないと思っているのに、部をやめてほしくない周りがよってたかって男のフリをさせようとしているのが、新しいといえば新しい。


部員の中ではモリ先輩をヒイキです。当然です。第一印象から決めてました。
何だってこんなに、「気は優しくて力持ち」に弱いんだろう私は。
「ラブリーアイテム魅力強化説」に激しく納得した。でも、別にハニー先輩がいなくても私はモリ先輩を好きになってたと思う。
ドアを開けたら立っていた、イノシシを抱えたモリ先輩の姿に笑いが止まらない。しかもスルーされてショックを受けているのがかわいい。
でも、指名するならば唯一話が合いそうなハルヒにします。
ていうか、セレブだけにおもてなしズルイ! 庶民にも開放しようぜ!


こういうワイワイドタバタ系の作風は、花とゆめ/LaLa独特の味のような気がするけど、好きです。
読むと元気をもらう感じ。
別マ別フレ少コミ系よりは、私はやっぱり花ゆめ系が性に合っているようだ。
(花ゆめで思い出したけど、望月花梨はいつ復活するんだろうなぁ…まだ望みを持っててもいいんでしょうか。閑話休題)


今後の展開で、双子の心境の変化がどうなっていくのか気になる。馨のほうがちょっと切ないな。
あと、笠野田くんが好きなのでこれからも登場してくれるとうれしい。


最新11巻を早く貸してほしいな〜。
ニックネーム 三森紘子 at 20:56| Comment(4) | TrackBack(0) | 漫画・あ行

2007年10月29日

セーラー服で滑り込み 〜神楽坂淳「大正野球娘。」

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どうせタイトルの「野球」につられたんだろうと言われるとぐぅの音も出ませんが、同じぐらい「大正」「娘」の部分にもつられました。
弱いんだ、大正モダンとか、女学生とか、はいからさんとかそういう単語に…
これは何かのニュースサイトで取り上げられていたのを見て興味を持ち、運よく図書館に入っていたので借りてみたものです。


タイトル通り、大正時代の娘さんたちが野球をするお話。
名門女学院に通う十三〜四歳の乙女9人が、「女性は家庭に入るべき」と当然のように口にする男に一泡吹かせるために、野球の試合で勝とうと決意する。
とはいえ、今ほど野球がポピュラーなスポーツでなかった時代のこと、ルールもわからない、どんな道具を使うのかも知らない、そもそも実際の野球を見たことがない者がほとんどの状況。
けれど、可憐な容貌の下に強かな精神を持っている彼女らは、あの手この手を使って特訓を始めます。


表紙のイラストを見ると、萌系ライトノベル系な作品を予想するけれど、実際に読んでみるとライトノベルよりは児童文学・ヤングアダルトに近いような印象を受ける。
のどかな、おっとりした雰囲気の文体がなんだか心地よくて、好き嫌いが分かれそうな感じではあるけど、私は結構好き。


大正時代の風俗が描かれているのも楽しいです。
西洋の文化を取り入れる「欧化」が叫ばれているけれど、まだ過渡期なので、女学生たちもセーラー服だったり和装(袴!)だったり個人差があって、掃除の時間にはブルマーの着用を奨められているけど(和装の人は免除)、潔く穿く人もいれば、恥ずかしくてスカートの下に穿く人もいて、でもそれだとスカートがモコモコしてしまって不格好だし…みたいな。
いつの時代も悩みは一緒なんだ! と思った。私も中学生のころはブルマ姿になるのが死ぬほど嫌で、ギリギリまでジャージのズボンを上に穿いていたよ。
なんでよりによって激しい運動をする体育の時間に、あんなほとんどパンツと同じ面積の布地しかないものを着用しなければいけなかったのだろう…。しかも女子だけ。


で、そのセーラー服のまま野球をするので、当然ユニフォームを着た球児のように前のめりに走ることはできません。小梅さん曰く「だって、普通に走るとはしたないでしょう?」
だから、重心を後ろにして、すべるように走ります。これだとスカートもめくれ上がったりしないし、速度も出るのだそうです。
ヘッドスライディングなんてもっての外です。膝から滑り込んで、ベースに正座です。
メンバーには、工学博士を父に持つ娘さんがいるので、今でいうピッチングマシーンや、なんと巨○の星の養成ギプスのようなものまで登場。
他にも、鍛練のため人力車を引いたり、捕球の練習に落ちる葉っぱを箸でつかんだり…なんか、ヘンな感じに楽しいぞ。


登場するのは良家の子女と呼ばれる娘さんばかりなので、みんな基本的におしとやかだし、言葉遣いも綺麗だし、親とも敬語で話す。
その歳で許婚とかもいるし。小梅と三郎の初々しいラブっぷりにはもうニヤニヤする。
でも、ティーンエージャーらしい可愛さもちゃんと持っていて、それが、由緒あるお家をしょって立つ身の責任や女性であることの誇りと同居していて、大変素敵な乙女たちであると思います。


ただ、これ、話がきちんと終わっていないのがどうかと思う。
書かれているのは試合本番の前日までで、続きの話が第二弾として出る予定ではあるらしいけど…ここは、一冊でしっかり終わらせてしまったほうがよかったんじゃないだろうか。
だって…そこまですごく名の売れた作家さんでもないし…続編を出せるほど売れるとも限らないし…余計なお世話か…。
てっきり試合の結末までを書いてくれるんだと思って読んでいたから、「あれ?」って肩すかしくらったみたいになっちゃったのもあるかもしれない。
探してみたけど見当たらなかったし、続編はまだ出ていないのかな。
出たら読みます。乙女たちがどんな風に戦うのか見たいもの。
ニックネーム 三森紘子 at 23:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 活字・た行

2007年10月28日

最近のほん 10月28日

週末は実家に帰って、枝豆の両端をひたすら切り落とす作業に従事していました。
田舎の法事は大変だなぁ。


庭先に異様な物体が転がっていたので父に何かと尋ねると、「大きくなりすぎたズッキーニ」とのことでした。


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横っちょのが通常の大きさのズッキーニ(ちなみに左下にあるのはブロッコリー)


並べると、そのとんでもないサイズに笑いがこみあげてくる。
ビッグサイズってだけでどうしてこんなに面白いんだろう。「デケー」「デケー」と大喜びでした。



最近よんだ本(この体裁、久しぶりだ)


・ケイケイ「ワンダフルライフ?」1巻


コミックエッセイのようでいて主人公=作者ではない、かといってフィクションかというとまるっきりそうでもなさそう、な不思議な雰囲気の漫画。
表紙にひっそりと「人の幸せなんて どうでもいいわ」と書いてあります。ようするにそういう漫画だ。


28歳独身OLの恋愛観を、表情のよめない点の目でこんこんと説く矢野さんがいい味出している。
思いっきりパーマ失敗されちゃう美人の後藤さんも好き。
私が一番近いのはナナちゃんのような気がする。あんなに節約してないけど、日常生活における優先順位の度合になんだか…共感してしまいます…。


・西炯子「ひとりで生きるモン!」全2巻


「ひらひらひゅ〜ん」のオマケ4コマが面白かったので、西さんの描いた4コマ漫画作品を読んでみました。
このテイスト…「×ペケ」をちょっと思い出す。
下ネタ多め…っていうかほとんど下ネタ。いや、キライではないというかむしろスキですけど…。


パレット文庫のしおりに連載されていたらしい。マジでか。
乳首トーンのネタが載ったしおりに当たった人は一体どんな反応したんだろう…。
「私がいなきゃダメな男は 私がいたってダメ」という主張には、目からウロコがポロッポロ落ちました!


・D・キッサン「共鳴せよ!私立轟高校図書委員会」2巻


これも4コマ漫画。
番外編のストーリー漫画で、普段小さいコマばかり描いているうっぷん晴らしのように大ゴマが使われているのが面白い。
でも、4コマばかり読んでいる中でいきなり大ゴマに遭遇するとかなりびっくりというか、違和感を感じます。


理事長先生の方言は確かによい。「金無うてヒマっちゅーんは死にとなるな」にキューンときた。
特別美しいわけでも、特別丁寧なわけでもない絵柄なのに、「この絵を見られてよかった」というお得感が非常に強い。なんでだろう。



続きものの新刊とか、興味のあるものを読みに漫画喫茶に行きたいのだけど、最近何やかんやで行けてません。
あと、友人に借りた「7SEEDS」をこれから読みます。
楽しみだ。
ニックネーム 三森紘子 at 20:50| Comment(0) | TrackBack(0) | いろいろ簡易感想

2007年10月26日

スタートライン 〜秋重学「學ビノ國」全4巻

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コンプリートまで、長かった…!
古本屋での遭遇率0%、そうこうしている内に続々と出版社在庫切れになっていくし、泡くって取り寄せたりオンライン古書店のお世話になったりして、ようやく揃えることができました。今月末はほんとうにいい月末だ。
こんなことなら数年前、近所の本屋で見かけたときに買っておけばよかった。あの頃はまだ普通に本屋に並んでいたんだよな。


原作つきの漫画を描かれることの多い秋重さんですが、この「學ビノ國」はオリジナル作ということで、どうなんだろうかとちょっとドキドキしながら読みました。
結論から言うと、とっても面白かった!!
考えてみれば、原作者が誰であろうと、秋重漫画にはすべて共通する秋重テイストが貫かれているのだもの、な〜んも心配することはなかったよ。
この人にしかない色というのが、しっかり存在してる証拠です。


この漫画は、ケガでバスケを断念し、スポーツ特待生として入学した高校を中退した水樹蓮司が、トレーナーを目指すため、大検合格に向けて奮闘するお話です。
通い始めた大検予備校で水樹は、様々な事情により大検取得を目指す人々と知り合いになる。
バイトしながら睡眠時間を削って勉学に励む、小野寺杏もその中の一人。


秋重漫画の女の子って、な〜〜んでこんなにカワイイんだろう!?(毎回コレ言ってる気がする…)
杏ちゃんも、十代特有のピチピチ感(具体的にいうとツルンとしたおでことか、プリプリした二の腕の付け根のお肉のつき具合とか、そのへん)がもう本当にカワイイ。もちろん彼女のカワイさは外見だけではないけれど。
もうちょっと自覚持って自分の身を守らなきゃいけないと思う。一部の汚い大人に同情なんてしちゃだめだよ!


水樹も、最初はチャラ男臭をぷんぷんさせていたけど、脱臼治すところなんて最高にカッコよかった。
故障のせいでバスケの道をあきらめざるをえなくなって、心ない人のせいでイヤな思いをしたり、クサってしまったりしたけど、でも最終的に水樹は周りの人間にとても恵まれていたと思う。
弟の入試のエピソードや(弟くんがなんだか好きだ)、「青春というのはいつ始まり、いつ終わるんだろうねえ。」という迫田さんの言葉、最後には黙って送り出してくれたお父さんの優しさ、トレーナーを目指す直接のきっかけになった吉岡トレーナーの言葉、その言葉を伝えてくれた高校時代の友人、応援してくれたプータロ時代の友人たち、予備校の仲間達…
そしてもちろん、周りがどんなによくしてくれても水樹自身ががんばらなきゃ何も始まらないわけで、そこをがんばった水樹は正真正銘、カッコいい奴だ。


ラストシーンは不覚にも涙・涙でした。
4巻という決して長くはない巻数のなかで、彼らがどれだけ努力してきたかをしっかり描いてくれているので、感情移入もハンパない。
大学入学というスタートラインに立ち、手をつないでそれぞれの夢を歩み始めた水樹と杏ちゃんのご両人に、惜しみないエールを送りたいと思います。なんか結婚式のスピーチみたいになってきたぞ。


結局ストーリーにあまり絡まないまま消えてしまった小林さんのようなかわいそうなキャラもいるにはいますが、素晴らしいラストだったのではないでしょうか。
土田が消えたことについては全く未練はないけどね。そういう役どころなんだとわかってはいてもハラが立ってしょうがなかった。禍根を残さずすっぱり消えてくれたのでよかったです。


二転三転、読者を転がす術に長けていて、最後までハラハラしどおしだった。
秋重漫画の中でも、一、二を争う好きさです。もっとたくさんの人に読んでほしいので、ぜひとも新装版が出てほしい。
最近の金城一紀原作シリーズもものすんごく良かったけど、そろそろオリジナル新作も描いてほしいなぁ。
やっぱり秋重学好きだよ〜。引き続き注目していきたい!
ニックネーム 三森紘子 at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・ま行

2007年10月25日

おお振り感想(アフタヌーン2007年12月号)

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☆ネタばれご注意☆今日も元気に長いです!


さてさて。記念すべき連載第50回目の今号ですが、もう、どこから叫べばいいのか…
よし…順番に叫びましょう。


まずは、昨日も叫びましたけど、コミックス9巻が12月21日に発売です!
うれしいなぁ〜!! うれしすぎるよ〜!!
ひぐち先生は毎回かなり読みごたえのあるオマケページを描き下ろしてくださるので、雑誌派にとっても大変楽しみな刊行です。
表紙は誰だろう? そろそろ応援団がくるかなぁ。


そんなわけで本編の感想に参りましょう。↓
 
 
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ニックネーム 三森紘子 at 22:57| Comment(9) | TrackBack(1) | おお振りアフタヌーン感想

2007年10月24日

とりあえず

祝・「おおきく振りかぶって」9巻、12月21日発売(予定)ーーーー!!!!
祭りじゃ祭りじゃあーーー!!ワッセローーーイ!!


と叫び終えたところで、アフタヌーンの感想は明日に持ち越します。
自分の目の下のクマのひどさに愕然としたので、今日は働きマン観てさっさと寝ます。


色々と幸せすぎるよ、もう!
ニックネーム 三森紘子 at 20:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 日記とか

2007年10月23日

デストロイヤー☆鳩 〜ハグキ「ハトのおよめさん」6巻

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今日はハトよめの発売日です。
朗らかな狂気を感じるこの表紙。


ハトよめとの出会いはヴィレッジバンガードの店頭で、でした。なんだかんだであのお店にはお世話になっています。
立ち読みして普通に噴いたのでそのまますぐに買いまんた。
その少し後、おお振りの連載が始まってアフタヌーンを購読するようになったので、ハトよめとも毎月ガッツリおつきあいすることになりまんた。
「〜まんた」がもっと流行るといいのにと思います。


6巻の冒頭で、ブタ子さん(仮)がよめのことを「何なの このクルった鳥は…」と評している。
その通りだ。よめはクルっている。ステキにクルっている。
大体ペンネームに「ハグキ」を選ぶ精神状態からしてクルっている。
1コマ先すらも読めない展開と、常に躁状態のテンションに、今日も腹筋の痙攣が止まらないのである。


ネット内でよく遭遇する「オワタ\(^o^)/」というAAを見るとハトよめを思い出す。
すぐバンザイするし(モブに特に多い)。すぐヨダレたらすし。すぐトリップするし。
そんな感じの漫画です。ん?あ、いや、そうか?


「いいから」「レンジでチンして…オシマイだ!」等、数々の名言を残すよめが、ダンナと結婚したのはどういう経緯だったのかすごく知りたい。
ダンナはよめのどこに惹かれたのだろう…顔?
よめはシンプルながらもキュートなフォルムであるし、ハト界でもべっぴんの部類に入るんだと思うので。
尻にしかれ気味ではあるけど、意外と息の合った夫婦であることは確かだ。


脇のキャラクターではトニャーが好き。
なんかもう切ない。基本的にアホの子なので愛しい。
エロ本がよめに見つかり、からかわれて「ヤメロ〜」って言ってるトニャーの顔がうっかりかわいく見えまんた。
あと、36歳主婦のウサギのワニ子(ウサギなのに)が、大爆笑を狙って放つギャグがいつもダダスベリなのが好き。
よめの周りで段々と地域コミュニティができあがっていくのが、何故かほほえましい。
6巻に出てきた「いのししびーむ」を発するうり坊たちがかわいらしい。
ブッコちゃんはいつになったら「ブッ殺す」以外の言葉を言えるようになれるんでしょう。


今、Wikipediaで始めて知ったけど、キャラによってセリフのフォントが違うらしいです。
四年くらい読んでて今ごろ気づいた…


ハトよめを読むとなんか知らんけどどこかから活力が湧いてくる。
まとめて読むとさらに効果倍増なので、コミックス発売がいつも楽しみです。
ニックネーム 三森紘子 at 22:29| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・は行

2007年10月22日

心はどこへいくんだろう 〜杉本亜未「独裁者グラナダ」

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杉本亜未開拓も、ぼちぼち進めています。


作者が入院中に話を考えたという2作品が収録されている一冊。
どちらの話も、「人間はふいに存在しえなくなったら何を残すことができるのか?」ということをテーマにしている。
私は今のところ、残すものなんて何も持っていないなぁ…むしろ、残さずに葬り去ってしまいたいものばかり持っている…
このテーマについて考え出すと堂々めぐりで、答えは出ないのにいつまでも考え込んでしまう。
はっきりいって精神衛生上よろしくないです。気持ちがどんどん落ち込んでいく。
パァッと楽しいことでも考えて辛気臭いことは忘れるに限る。
でも、こういう作品を読むと否応なしに考えさせられます。胸の中がしんとしてゆく。


クレイアニメーション『独裁者グラナダ』を観て感動した雑誌編集者の中田。彼が取材することになった作者の鳴瀬はしかし、尊大で傲慢な男だった。
深く関わるとロクな目に合わないとわかっていながらも、鳴瀬の才能に惹かれ、すべてを欲しがる理由が気になる中田。
映像作家鳴瀬の一時代が終わり、再び新しい時代が始まるまでを描いた「独裁者グラナダ」。
ケガで入院中の小山が出会った同い年のクロは、重い病気で長い間病院にいた。
かけがえのない時間を描いた「Birthday」。


正岡子規の「病牀六尺」やストーンズなど、小道具の使い方が上手で非常に効果的です。
「Birthday」のラストはただ泣くしかない。名作です。


「俺をほめろよ」と傲慢な言動を繰り返し、手段を一切選ばず、こんなにも生き急ごうとする鳴瀬。
早く大人になりたかったと言い、「こうして幸せだったことを覚えていればそれだけでいいな」という言葉を残したクロ。
人と関わって、どうにかしてやりたいと思ってもどうにもできないというのは…辛い。
「何かしてやった」「何もできなかった」、どちらも自己満足なんだけれども。


最初のインパクトが強すぎて鳴瀬のことは最後までコワかったけど、人々が鳴瀬に惹かれる理由もよくわかる。
辞め際がめちゃくちゃかっこよかった東さん、自立して綺麗になった愛さん、絵が第二の人生の生きがいになった中田のお父さんたちのことも好きだった。
愛さんの回想シーンに出てきた鳴瀬に、(誰だよ!?)とツッコミを入れたのは私だけではないはずだ。
肉体を鍛えることで、色々なものを鍛えようとしていたのかなぁ、鳴瀬。


それにしても皆、なんて綺麗な目をしているんだろうか。


ファンタジウムの続きも早く出ないかなー。
ニックネーム 三森紘子 at 16:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・た行

2007年10月21日

奥深きその世界 〜ミキマキ「少年よ耽美を描け」1巻

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アニメおお振り放送終了にともない悲嘆にくれておりましたが、一夜明けて、おうちにいっぱい漫画がやって来たので、片っ端から読んでました。至福だ。
感想一冊めがコレというのもどうかと思いますが、まあ順番にいきます。


何しろこれ、サブタイトルが「BOYS BE TAMBITIOUS」というのです。
ボーイズ・ビー・タンビシャス!! タンビシャスって何!? アホすぎる!!
こんなタイトルついてる時点で勝ったも同然じゃないかと思ったのが、読もうと思った理由です。
私にはツボだったんだけどなぁ…一般的にはどうなんだろうなぁ…「耽美シャス」。


眉目秀麗の男子高校生・新葉芹は、生まれて初めて彼女にふられる。
その理由は、「BL漫画にハマったからデートの時間をそっちに使いたい」というものだった。
屈辱を受けた新葉は彼女を見返すために、何故か自分でBL漫画を描くことを決意する。
周囲の男子を巻きこんで奮闘するが、次第に本末転倒的にBLの世界に染まってゆくのであった。
…という内容のストーリー四コマ漫画。


知識ゼロの男子が「受攻とは何か」を学ぶところから始まっているので、初心者に優しい作りだと思います。
興味はあるけどどっぷり足を踏み入れる覚悟のない私のようなチキン野郎にもちょうど良かったと思います。
こういうネタ漫画って、なしくずしに本筋がBL展開になってっちゃったりしがちだけど、そこはあくまで彼らが部活動のように打ち込む対象としてのBL、という粋を出ていないので、読んでてすごく安心できる。
本物のホモキャラも出てこないし。まあ2巻以降出てくるかもしれないけど。


いや…ほんとに…BLの世界は奥が深い…
半分ぐらい意味がわからない。ここに書かれていることが間違ってるのか合ってるのかもわかんない。
そしてここに書かれていることも、きっと氷山の一角でしかないのだろうなぁ…
「白衣はジョーカー」「逆カプは魔法の呪文」「ロンゲキャラのパンツ=豹柄ブーメラン」というあたりが参考になりました(何の?)。


バンド少年なのに、絵が抜群にうまいせいで仲間に引き入れられている潮が一番フビンで好きだ。
あのすごい柄のTシャツ(見つめ合う男二人のプリントに「お前と堕ちたい…」という文字入り)を着たままコンビニに行ったんだろうか。
新葉が脇役顔だというのは、小清水姉の意見に同意です。特に髪型がかませ犬くさい。主役の髪型じゃない(偏見ですすいません)。
彼らには今後も誰かとあやしい関係になったりせず、真面目にBL道を邁進してほしいです。


そんで、四コマ漫画としてちゃんと面白い。これが最も重要。
「なまはげで告白」の回が一番笑った…。
あと、絵がかなりヘタクソな新葉が描いたBL漫画「秘密」は、ずっと見ているとだんだん萌えを感じてくるという摩訶不思議な作品です。私だけかもしれないけど。四コマしかないけど。
最終回では、完成した作品を載せてくれるのか。というか、完成するのか。


初心者にはよいと思うのですが、上級者の方々にとっては「それは違う」「そこは逆だろ」とか色々言いたいことが出てくるのかもしれないですね。
すいません、そんな私は「銀河×ブラックホール」がどうしてもわかりませんでした。
悟り度合いが新葉以下とは…
ニックネーム 三森紘子 at 23:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・さ行

2007年10月20日

アニメ「おおきく振りかぶって」25話を観た。

早く来てほしかった…でも、来てほしくなかった今日という日。
泣いても笑っても最終回。の、25話を観ました。


もー、殺す気か!?ってぐらい全瞬間が可愛かった。
今回は日常話なので、試合時のような緊迫感や高楊感はなかったけど、おんなじぐらいもんどりうつぐらいにみんな可愛すぎます。
ちょっと今から叫びたいくらい可愛かったです。
でも集合住宅なので叫べない。あああ…ううう〜。


・修ちゃんとの思い出
降りしきる雪と、吐く息の白さが綺麗で見惚れる。
冬服の叶が良すぎる。
「お前が今までやってたのは違うんだよ!」という叶の台詞に泣きそうになりました。
もしかしたら、中学時代に二人が交わした最後の会話なのかもしれない。
この時、三橋は叶に何も答えることができなかったけど…今なら、言える。


・球技大会at西浦高校
とりあえず基本が怒りモードの阿部。
泉のスタンスは「さりげなくフォロー」のようです。
栄口は「場の雰囲気が緊張するのがイヤで自ら安定に努める」って感じだけど、泉は「自分にできることはとりあえず全部やる」って感じなのかな。ううんわからん。
泉と喋ってるときの阿部の後ろ姿(後頭部)がお気に入り。かっこいい。
阿部は田島の思い浮かべるお弁当の具が見えているのか!?
そして、思い浮かべるだけで「うっめー!」と味わうことのできる田島。


・浜田かっけー!
団長の人、ほんとにかっこいいぞ。すごい動いてるな。
泉の「ふざけんな浜田!」の声がよかった。
田島と泉が笑ったのは何だろう。ハマちゃんコケでもしたのかな?


・三橋にメールを打つ阿部
やー、色々かわいい…!
仲良く話しながら歩いてるおっきーと西広、水を飲む巣山と一口分けて欲しそうな水谷、お行儀よく着替え中の栄口。
その横で阿部、ユニフォーム脱ぎかけのままメールを打つな! 行儀わるい!(笑)
そっか、試合の翌日も朝練やってんだなぁ。


・ルリちゃんのシーン
削られちゃったのでちょっと残念。
試合に勝ったことを、最初は「自分で叶に言いなよ」って突き放していたけど、あとでやっぱり「私、言おうか?」ってメールしてあげるところに、ルリちゃんの優しさが出ていていいなぁと思っていたのだけど。
いきなり「言おうか?」って言ってあげてる形になっちゃった。


・阿部のメールに怯えまくる三橋
ヘンな動き! 原作よりもさらに動いてる!
めっちゃカワイイんだけど、やっぱり、やっぱり笑っちゃうのが先にくるー!
はあー和むよう。
というか、携帯アドレス帳に「お母さん」「田島くん」って登録してるのか! カワイー!
でも阿部は「阿部くん」じゃなくて「阿部隆也」なのか! 武蔵野の試合の時に下の名前も知ったから?


・みんなの私服
私服というか、三橋以外は体操着代わりなんだろうけど。三橋は部屋着か?
Tシャツがどれもかわいいなぁ。特に三橋のは袖がダレンとなっててすっごいかわいいなぁ。
田島のジャージのまくり上げ具合が左右非対称なのがやっぱり好きだ。
花井がハーフパンツ穿いてんのちょっとだけ意外。
ちゃんと玄関の戸を閉めてあげる泉はいい子。


・三橋の体重が50キロだったので阿部怒る
「ごじゅっ…キロッ」のセリフの間といい、すごい速さで詰め寄ってくる阿部といい、「まただよ…」って顔の泉といい、今回最大の笑いドコロでした。
おっかしぃー! 阿部の素早さおっかしぃー! あっはっは!
その後の、こーやって怒鳴るからキラわれて…→こいつが好きなのは食いもんの話→昨日何食った?→きっと食べちゃイケナイものを食べたんだっ→ゴ…ゴメンナサイの流れも最高です。
阿部おまえ、その話題は唐突すぎるし強引すぎるよ! もうちょっとがんばろう!
怒りのあまり涙目になる阿部はとてもかわいかったけれども。


・大盛りカレー
うまそうっ!
本気で大盛りだ…これを平らげて、さらにおかわりまでする高校男児の胃袋すごい。
一人だけ「うまそう」を恥ずかしがる花井がいい。
おいしそうに口モグモグさせてるみんなかわいいよー。
見てると幸せになる。


・「オレたちも 勝ったでしょう」→ニイ
原作どおりの四人のニヤケ…阿部の笑みはアニメだとそれほど邪悪でもないな。


・下向いてるヤツをにらんでるフビンな阿部
でも確かに、ここの三橋はモノローグはたくさんあるけど、実際に発してる声は「みんなが 打って あの…」だけだしな。あとはずっとうつむいてるだけ。
うん…阿部みたいな表情になっちゃうのはしょうがないかも…


・花井のモノローグ
この花井の「ムカツク」「三橋と中学で会ってたらイジメ側に入ってたから、出会いが高校でよかった」という気持ち、すごくまっとうな感情だと思います。
中学時代に比べて、大人になったという自覚があるんだろうか。
花井が坊主なのは天然パーマだかららしいけど、中学の時も坊主だったのかな…
こんな考え方をする花井は、やっぱり根っこが優等生なんだなぁと思った。


・田島の理由
「オレ近いから」の言い方がよかった。
中坊の田島、全力で走る田島いいな〜!
田島はどんな中学生だったんだろう。きっと今と同じだろうけど。
やっぱり大勢の仲間に囲まれてたのかな。


・阿部
カレー食ってるときにウ○コの話すんな!
あ、阿部のヒドさがよくわかる千代ちゃんのエピソードが削られている。


・三橋泣く
「あ、泣いた」「なんで泣いてんのー?」と小学生みたいな反応をする田島と、「オレなんか言った?」と焦る花井が好き。


・阿部の「うめー」
すっごい、良かった!
こんなちっちゃいセリフ、拾ってくれるとは…感激だ。
田島の「ハルナ」とかもね。


・「おっこんねーよ!」と言いつつ再び阿部怒る
怒られた直後、阿部が喋り出したときに、三橋が「あっまた怒られる…」みたいなリアクションをしてて、でももう怒ってなかったので「アレ…?」っていう顔になっている。
細かい! 演出が細かい!


・総評
コメントとともに、フラッシュバックするみんなの勇姿…
じんわりくる…
「こんなのふつー」「ふつーに野球やってるだけ」
そうなんだろうけど、でもこんなふうに言ってもらえたら、ものすごくうれしいよね。


・また明日
帰っていくとき、最後、阿部がちょっとだけ振り返ってますね。
それがなんだって話だけど…何で振り返ったんだろう。


・修ちゃんのメール
三橋の「修ちゃん…」の声がよかった。
返ってきたメールを見て、ジブリキャラのように身軽に段差を飛び降りる叶、そして無視される畠(涙)。
叶くんの満面の笑み、ま、まぶしい!


その他、可愛かった三橋一覧↓

・ベッドによじ登る三橋のお尻
・枕に顔を埋める三橋
・熱で耳まで赤い三橋
・逃げようかとベッドを下りる三橋のお尻
・いそいそと皿の用意をする三橋
・カレーを目の前によだれが止まらない三橋
・「ウチ、お金ないみたい」とモジモジする三橋
・両手でコップ持って水飲む三橋
・思いっきり女の子座りの三橋(膝関節おかしくならないのか?)
・「ウソ?」と小首をかしげる三橋
・自ら阿部に頭を差し出してこめかみグリグリされる三橋
・「いっしょ」がうれしい三橋
・前屈する三橋
・ソファですやすや眠りながら、かすかに微笑む三橋

以上、です。




〜総括〜
素晴らしいアニメ化作品が、とうとう終わってしまいました。
何だかぽっかりと心に穴があいてしまったような寂しさを感じます。


本当に、こんなに幸せなアニメ化はなかったと思います。
おお振りを知らない人に対しても、「今アニメもやってるから、すごい良いから、観て!」って全力ですすめられる作品でした。
まず原作ありきで、原作をどのようにアニメで表現するか、という姿勢が一貫して感じられ、それは原作ファンにとって本当にうれしいことでした。
毎週、喜んだり、驚いたり、感動したり、時には文句も言ったりしましたが、それも全部ひっくるめて幸せでした。
心底幸せでした。


声優の皆様、
制作スタッフの皆様、
そして水島 努監督、
お疲れ様でした。
素晴らしく幸せな時間を、ありがとうございました!!







本当に、ありがとう。
あなたに、ありがとう。
ニックネーム 三森紘子 at 23:41| Comment(2) | TrackBack(0) | おお振りアニメ感想

2007年10月18日

どっちが萌えバトンに答えてみた。

なんだかのどが痛いし体の節々も痛いです。
風邪だ。間違いなく風邪の初期症状だ。


葛根湯ドリンク! ヴィッ○スのど飴! 滋養のある食べ物!
大人になってからの風邪は百害あって一利なしです。仕事は待ってくれないし一人暮らしなので看病してくれる同居人もいない。
バリバリ食ってガンガン寝て、一日で 治す!


だからといってただ寝ているだけなのもヒマだ。
そうだバトンだ。まさとさんから回していただいたバトンに答えよう!
というわけで、さっそく答えていきたいと思います。前置き長くてすいません。


どっちが萌えバトン
※『』は言われたらドキドキする方を選ぶ。
※回された人は自分が萌えを感じる二択を一つ追加する。



ではスタート↓


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ニックネーム 三森紘子 at 21:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記とか

2007年10月17日

ひとつだけ 〜辻村深月「冷たい校舎の時は止まる」上下巻

1017

辻村深月のデビュー作。
この作品でメフィスト賞を受賞し、辻村深月は世に現れ出でました。


雪の降るある日、いつものように登校すると、校内にいたのはふだんから仲のよかった八人の生徒だけ。
他の生徒や教師が来る気配もなく、校舎から出ようとしても何故か出られず、時計の針はある時刻を示し続ける。
閉じ込められた八人の脳裏に浮かぶのは、二ヶ月前の学園祭最中に起こった同級生の自殺事件。
だが、死んだその同級生の顔も名前も、誰一人思い出せないことに気づく。
自殺したのは誰だったのか? その人物が彼らを閉じ込めているのか?
クラスメートのことを忘れてしまえるほど、自分たちは薄情だったのか?
時を止めた学校という小さな世界で次に時計の針が動くとき、一人、また一人と閉じた校舎から消えていく。


これ、今回が二度目の再読です。
前はノベルス版を図書館で借りて読みました。文庫版が出たので改めて購入という、いつものパターンです。
にもかかわらず、「自殺したのは誰か」という種明かし部分を綺麗さっぱり忘れていました。
もうひとつのトリックのほうは覚えていたんだけど。
なので、初読のときと同じように「う〜、誰なんだぁ〜」とヤキモキしながら読みました。
推理ものを読むときは、忘れっぽさも役に立つんだな…(他で役に立ったことないけど)


でも、そういいつつも、「犯人(今回の場合は自殺者)は誰か」という謎解きについては、実はあまり興味がない。
それよりも、それぞれの事情を抱える高校生――クラス内では少し目立つ位置づけかもしれないけど、でもその辺にいそうな高校生たちの内面に、とにかく惹きつけられて仕方がない。
彼らの生い立ち、記憶、傷跡、自己嫌悪、恋心、憧憬、後悔と拠り所と希望。
なんて瑞々しく、鮮烈に、残酷に、優しく、描かれているんだろう。
一クラス30人、40人の中にともすれば埋没してしまう、その一人一人の内側には、こんなにも深く大きな世界がひとつひとつ広がっている。


充の「責任を負うのが怖くて他人を傷つけることができない」という感情や、清水の自意識の在りよう、交友関係に臆病になる気持ちに、特に共感した。
私は清水みたいに努力家ではないけど。


清水視点の鷹野は本当にかっこいい。
リレーのエピソードは、かなわないや。やられました。って感じだった。


痛みを痛みとして胸に住まわせたまま、彼らは高校を卒業して大人になっていく。
もう戻ってこないもの。取り返しがつかず変わってしまったもの。
少し寂しく、少し悲しく、けれどもそれを受け入れる懐の深さと、希望の在り処をこの作品は示してくれている。
ああ、よかった。大丈夫、きっとうまくいく。私たちは笑い合える。
そんなふうな読後感を抱く。
ラスト、鷹野は何を思い、そして「彼女」は何を思ったのだろう。鮮やかに情景が浮かびあがってくる最後でした。


川原泉の解説もよかったな。
描く漫画の作風そのままなお人なんだなぁ、という文章で。


ところで、この作品には、作者と同じ名前を持つ「辻村深月」というキャラクターが登場します。
ミステリ系の作品にこういうのが多い気がするけど、何で登場人物の名前をそのまま筆名にしたり(もしくは筆名を登場人物の一人に名付けたり?)するんだろう?
だからといって、そのキャラクター=作者というわけではないし。
どういう理由からそうするんだろう…? わからん…
ニックネーム 三森紘子 at 23:08| Comment(2) | TrackBack(0) | 活字・た行

2007年10月16日

ノスタルジック夏期休暇 〜西炯子「STAY ああ 今年の夏も何もなかったわ」

1016

気にいるとその作家さんの著作を集めてしまう傾向にあります。
「ひらひらひゅ〜ん」が面白かったので、西さんを最近気にしている。
割合たくさんの著作があるので、いきなり全部集めるわけにはいかないけど、ちょっとずつ攻めていこうかなーと思う。
その中で、映画化するらしいというのと、長く続いてるシリーズ物の一作目ということで、「STAY ああ 今年の夏も何もなかったわ」を読んでみました。


何だこのタイトル。私が毎年思ってたことじゃないか。
夏に何かあったことなんてないんですけど…
大体なんで夏になると「ひと夏のアバンチュール(古い)」的な風潮になるんだろう?
おとなになると夏休みなんてほとんどなくなるし、学校通ってたら通ってたで、ラジオ体操やプールや部活や補習や予備校があったからなぁ。
あと宿題も。夏って結構多忙だよ。


などと負け惜しみを言うのはこのぐらいにして、今作品は高校の演劇部に所属する五人の女の子を主人公にしたオムニバス集です。
いくら「何もなかった」といっても本当に何もなかったわけはなく、五人ともそれぞれの夏の出来事を経験している。
それが、絵にかいたような「ひと夏のアバンチュール(だから古い)」ではなかったというだけで。


玉井さんの話が好きだった。
女の子らしい内面とは裏腹に、背が高く凛々しく、女子から「玉井クン」と呼ばれキャーキャー言われている玉井さん。
可憐な容貌の女の子に「玉井さんが彼氏だったらいいだろうな」と想いを寄せられ、そのことにとても傷つく。
そんな彼女が最後にああいう形でみんなにお別れを言うことができたのは、きっと刈川さんのイキな計らいのおかげなんだろうな。
刈川さん素敵だ。


みちると佐藤くんの行く先も気になる。
この二人はくっつくのか、どうなのか。
「自作のエロ小説を深夜ベッドでほそぼそと」読んでるみちるさん、カミングアウトしちゃうのがスゴイです…
ゲジ眉メガネのプレイボーイ、佐藤君のビジュアルがいい味出してます。
西さんの描く男子高生は、制服のズボンの裾が短いのがいい。
長すぎず短すぎない、女子のスカートもいい。


あと、彼女らは演劇部なんだけど、ときどきコマの端っこに吹奏楽部のパート練習の風景が描かれているのを見て、すごく懐かしい気持ちになった。
私もやってたなぁ。楽器ごとに、階段の踊り場や中庭に分かれてピープー鳴らしていたなぁ。
田園風景といい、小川といい、高校生御用達の駄菓子屋といい、精米機といい、ノスタルジーを刺激される物たちが随所にちりばめられている。
海もよく出てくるなぁ。ってまだ2作しか読んでないけど。
西さんの原風景なんだろうか。


どのお話も、通り過ぎていく青春時代の一部を切り取ってみせたという感じ。
これはこれで味わい深い仕上がりになっているけど、やっぱり続きを知りたいなぁと思っちゃいます。
だからこれはやっぱり、シリーズ全部読むしかないか。


どんな映画になるんだろう。
やっぱオムニバス形式? それとも、どれかの話を膨らませるのかな?
ニックネーム 三森紘子 at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・さ行

2007年10月14日

アニメ「おおきく振りかぶって」24話を観た。

観ました。
OPからもう、何だか切なくなってきてしまった…。
もうこれを観られるのもあと一回か…と思うと。
あと一回あるのにね。


アニメ「おおきく振りかぶって」、クライマックス。


・で、そのOP映像ですが
前回までと変わってる箇所がある!
「ドラマチック」の時も細かい修正が何度もされていたみたいなので、この「青春ライン」もそうなんだろうと思うけど(でもそれに気づけるほどしっかりとは観てない)、今回のはさすがにわかった。
すごいこだわり! 最後まで妥協しないんだ。
下手したら気づかれないかもしれないのに。


・桐青の円陣
9回裏が始まる前に、和さんがチームメイトに向かって話す。
和さんの言葉を、一言一句噛みしめるように聞く。
皆を引っ張るキャプテンとして、共に闘ってきた仲間の一員として、嘘偽りや衒いのないその言葉には、力がある。
こんな人を主将に持つチームは幸せだなぁ。
「勝つぞ!!」←最っ…高でした。


・真柴の打席
(この回さえ抑えれば…)ビビリつつも、決意を新たにする三橋。
打席に立つ、迅視点のシーンがすごい良い!
ブラバンが演奏するのは「夏祭り」。うあー、これ実際の高校野球中継でよく聞いたなー!
おそらく最後の攻撃回に、桐青の応援も気合いが入る。


三橋のまっすぐをどうにか見極めようとする迅。
まっすぐに自信がない三橋は、阿部の指示通りに投げるけれどもその球には迷いがある。
マスクをつけてるのに、阿部が怒ってることがみんなにはわかるという(笑)。
気遣いの人・栄口は、動かない三橋に声をかけます。ここは削られないでよかった。
「どうもっ」と首を振る三橋がまた人間じゃない動きをしているので笑いました。
おもしれえなぁ…。前を向いたら阿部と目が合ってビクーッとなってるところはかわいかった。


まっすぐの威力を三橋自身に認めさせようとして、阿部はあえてシュートを指示する。
普通なら当ててもファールになるはずの球は、疲労した体で投げたために回転が足りなかった。
ピッチャー前に転がったボールを捕ろうとして駆け出した三橋は、水たまりに足を取られて転倒。
いちはやく前に出ていた田島が捕って一塁へ投げるが、ぎりぎり間に合わずセーフ。
滑って転ぶ三橋、アニメではフツウというかわりとシリアスな演出でしたね(笑)。
原作では、ここ笑うとこなの? って感じだからね。


(がんばれ)(あと1回だぞ)三橋を心配そうに見守る巣山と栄口。
(まさかここが 限界!?)青ざめるモモカン、(まだだ!)と諦めない阿部。
阿部は三橋を奮い立たせるため、「マウンド譲れ」と口にする。
三橋が誰よりもマウンドに固執しているのを知っているからこその荒療治。それは効を奏し、三橋は何とか立ち上がる。
沖のモノローグ。こんな緊迫した場面で投げる自信のない自分、同じく自信がないだろうにそれでもマウンドを降りようとしない三橋。
(そーゆー奴の後ろは スゲーやる気出るけどな!)
おっきーだけじゃない、みんなそういう気持ちなんだろうなと思います。


やっぱり主人公は三橋なんだなぁ…と改めて思ったこのくだり。
三橋の心情描写が、とても丁寧に表現されている。
とにかく三橋に感情移入して観ていました。和さんが出ているときは和さんに持ってかれちゃうんだけど(…)、それ以外は三橋の気持ちにかなりシンクロというか、がんばれ、がんばれ、と無心に応援してしまった。


・松永の打席
迅が盗塁してノーアウト二塁。
ピッチャー降ろされるのは、嫌だ。気迫と執念で投げた球は三球三振。
この土壇場でこの投球…すごい、本当にすごいよ三橋!


・島崎の打席
三橋のまっすぐを何度も見ている慎吾さん、今度こそまっすぐ攻略のため、慎重にバッティングを調整していく。
後ろに上がったファールボールを捕ろうとして、必死になって滑り込む阿部。
ここの阿部がとても好きです。ひとつでも多くのアウトを、貪欲に勝ちを目指してボールを追いかけるさま、捕れなくて心底悔しがるさま、最高に輝いている瞬間だと思う。大好き。
そんな阿部を見て自分の球の威力が落ちたせいで怒ってるんだと勘違いする三橋……気持ちは、わかる。うん。


ついにまっすぐを捉えた慎吾さん。
打球は転がらずに浮いたけれど、バント警戒で前に出ていた田島は捕りきれずにこぼす。
それを捕った巣山、一塁へ送球するが暴投。セカンドランナーの迅は三塁へ回り、セーフ。
スピーディーな展開、しびれる!
特に巣山の「握りそこなってる」指の描写が上手いなぁ〜と思った。


・青木の打席
こんなピンチな状況で、4番打者が登場! まずいよまずいよ。
しかもブラバン演奏は「RUNNER」って! 盛り上がりますがな。走る〜走る〜おれ〜た〜ち〜。
1球めはまっすぐを指示する阿部。
だが三橋は、唐突に思い至ってしまう。(もうオレは 桐青に攻略されたんだ)


このままだと、打たれ続けてもマウンドを降りずに負けてばかりいた中学時代と同じになってしまう――。
そう思う三橋の表情が、1話冒頭の三星時代と同じ構図になっているところがニクイ。ニクイ演出ですね。
でも、今は中学時代とは違う。
それは、後ろを守ってくれる仲間がいるということです。


次々に声を出していく西浦ナイン。花井は、ライトから三橋に向かって声を張り上げる。
「お前の投げる球なら 誰も文句ねェから」
「おお!!」それに呼応する皆の声。


皆の声を受けて、三橋はマウンドに立っています。
そして、阿部のミットに向かって投げる。今投げられる最高の球を。


青木は迷わずバットを振り抜く。
センター前へ飛ぶボールを追いかける泉の姿。
(投げ勝ってる! 捕ってやるぜ三橋!)
飛びつき、しっかりミットにボールをおさめる泉。
三塁を蹴る迅の姿。
花井の、渾身のバックホーム。
球はまっすぐに、ホームベースで待つ阿部のミット目がけて伸びる。
捕球と同時に迅が滑り込む。
誰もが息を呑んで注目する中、審判の声は「アウト」を告げた。
――ゲームセット。



…もう、言っちゃっていいですか! 泉が男前すぎる!!
思考・行動・すべてが男前! 惚れるわ!
泉は「男前」という形容が最も似合うと思います。顔はかわいいけど。
その後の花井のバックホームもよかった! 球がぎゅーんとホームに飛んでいく描写、鳥肌が立った。
ベースカバーに入る三橋の姿もちゃんと描かれている。


・西浦高校、勝利
応援団に挨拶に行く西浦チーム。
一列になって頭を下げるシーン、ああ、全員映ってないよ…。テレビ画面だと両端が切れちゃってる。
DVDでは全部映るんだろうなぁ。観たい!
エール交換のハマちゃんの声(たぶん)が、裏返っててほほえましい。


・桐青ベンチ
ネクストバッターズサークルで試合の行方を見つめ、静かに立ち上がる和さん。
家族にもらったお守りをぎゅっと握りしめ、気丈に皆に指示を出す和さん。
途切れがちに「スンマセンでした」を繰り返す準さんに、優しく声をかけてやる和さん。
準さんの涙を見て、ついにこらえきれなくなる和さん。


…和さんの顔が、ずっと強張っているのは、泣くのをこらえていたからなのだと思います。
主将である自分は、チームをまとめて引っ張っていかなければならない。そんな自分が泣いているわけにはいかない。
そんな思いから、必死にガマンして、大きな声で「さあ出るぞ!」と皆に指示を出した。
でも、準さんの顔を見たとき、こらえていたものが溢れ出してしまった。


「もっと、一緒に」野球をしたかった。
和さんや、三年の皆と一緒に。
そんな準さんの思いと、和さんの思いは同じだっただろうから。
「力足んなくってごめんな」
そう言って泣きながら、和さんは準さんの肩を抱きしめる。


ボロボロこぼれ落ちる準さんの涙がとても綺麗です。
準さんに抱きつく瞬間、くしゃりとゆがむ和さんの顔が一瞬だけ見えます。
準さんの肩に置かれる和さんの手は大きくてあたたかそうです。
みんな泣いています。慎吾さんも静かに。
彼らの最後の夏は、ここで終わってしまいました。
ただひたすら胸が、痛いです…


やっぱりここでこの曲(「ゲームセット」)流れたかー!
声優さんの演技も、満点いやそれ以上で素晴らしかった…。
準さんの涙声、和さんの悲痛に高くなる声、男泣き。
すすす、素晴らしい。


・利央の「あっ」「のおっ」
めちゃめちゃかわいかった。
利央ってこんなかわいかったんだ…。今さら。
田島とメルアド交換したあと、ちゃんとメル友になってるのかな?
そして、名前も聞かないままメルアド教える田島も大物だ。
この二人の身長差ってすごいよな。


・三橋つぶれました〜
「ダメだねぇこりゃ」って言ってるモモカンのどアップにドキドキした。
かわいいなぁ…


・人権のない三橋
車を汚されたくなくて、問答無用で息子のユニフォームを脱がす三橋母。
三橋を見にきた女子のセリフはカットされちゃった。


・次回予告
あの…この予告だけですでにお腹いっぱいなんですが…
主に三橋がかわいくて。む、むっちゃカワイイ!
来週は30分も耐えられるかなコレ。




というわけで、長い、本当に長かった試合がついに終わりました。
演出にも作画にも大変力の入った回で、すごくよかったと思う。
欲を言っちゃえば、試合終了後にもう少し余韻が欲しかったです水島監督!
でも、原作の再現度は素晴らしかった!


桐青のシーン、もっと泣くかと思ってたんですが、あまり泣かなかったんですよこれが。
代わりに、ただただ胸がしめつけられるように苦しくて痛かった。
素直に泣いちゃってたほうがどんなにか楽だったろう。
桐青の出番は、今回で終わりかな。
和さんの素敵な声を、本当にありがとうございました、花輪英司さん!


やれやれ…何とか今日中に感想を書き終えることができて、よかった。
来週はいよいよ最終回。存分に楽しもうと思います。


はぁ…さびしいよ。
ニックネーム 三森紘子 at 23:42| Comment(2) | TrackBack(0) | おお振りアニメ感想

2007年10月13日

ひぐちアサ「家族のそれから」主にトオル君語り

1013

もうすぐおお振りアニメが終わってしまうことがとても寂しくて悲しいので、漫画を何度も読み返しています。
この半年は、おお振りファンにとって本当に毎日がカーニバルでした。
でも、アニメが終わってもひぐちアサ祭りは続きます。私の脳内で。
原作はまだまだ続くしね!


その流れでヤサワタや家族も読み返しています。
久々に「家族のそれから」を読んだら、トオル君が可愛くて可愛くて仕方なくなり出したので、今日はトオル君について語ろうと思います。


この作品を最初に読んだ頃はそこまででもなかったのですが、立派にキャラ萌えをするまでに成長しました。
ん? それ成長…か?


一度感想記事を書いていますが、ずいぶん前の文章で恥ずかしいので、リンクを貼るのはやめておきます。
なのでストーリーのおさらいを。


母親が亡くなって、残された人々――高校生の兄と妹、そして籍を入れたばかりだった26歳の義父――が、お互いに気兼ねしたり、思いやりがすれ違ったり、ぶっちゃけたり、しながらホントの「家族」になっていく過程の物語。
と、昔の記事には書いていました。
その内の高校生の兄のほうが、主人公(?)の八木沢享、高校二年生(たぶん)である。


母が亡くなった後も、一緒に暮らすことを続ける結婚相手のケンジさん。
彼は母と夫婦になったというだけで、自分たちの父親になったわけではないし、父親と認めたわけでもない。
母はもういない今、一緒にいる理由はもうなくなったのに、何故家を出ようとしないのか。自分と妹に同情しているのか。
他人の世話になりたくないという気持ちもあるし、まだ若いケンジさんに自分たち=被保護者二人という荷物を背負わせることに罪悪感を感じてもいる。
妹のメグちゃん(たぶん高一)のことは自分が何とか面倒みなきゃと思っていて、「他人の男」であるケンジさんとメグちゃんが仲良くなっていくのをみて嫉妬心を抱いたりもする。
そういうことをなかなか言えないで、モヤモヤ葛藤しているごく普通の少年がトオル君。


【トオル君ってこんな人】

・水泳部所属(部員数二名)
・新聞配達のアルバイトをしている
・「定期預金」を「定期入れ」と勘違い
・キレイな夕焼けを見ると泣けてくる
・家に誰もいないときはコタツの中掛けをかぶってくつろぐ
・自分で自分をお荷物扱いして傷つく
・メンタムを目の下に塗りすぎて涙が止まらなくなる
・26歳男性であるケンジさんにエロ本を所持してるのが見つかりそうになって焦る
・妹のメグちゃんと話すときはたまに自分を「兄ちゃん」と呼ぶ
・「生きもの/地球/紀行」を観るのが毎週の楽しみ
・「ジャンケン荷物持ち」言いだしっぺのくせにずっと自分が持つハメに
・ケンジさんのワイシャツにだけアイロンがかかってるのを見て落ち込む
・オデンのダイコンが好き
・唐揚げが大好物
・メグちゃんとケンジさんとの仲を疑って胃炎になる
・妹に「10年か その頃には お兄ちゃんだってしっかりするよね」とか思われてる
・基本的にメグちゃんに頭が上がらない


どうですか。きゅんきゅんきませんか。私はきます。
水泳部ということは、細く見えるけど適度に引き締まった体をしているのだろうとか想像しています。
作中は冬だったので部活風景はありませんが(それに部活やめたって言ってるし)。
すぐ赤くなったり青くなったり顔をしかめたり泣いたり、表情がくるくる変わるのを見ているだけで楽しいです。
こう、なんというか、存在が愛しいです。
おお振りの栄口やヤサワタのヒロタカにも同じような気持ちを感じます。
何なんだろうね、この感情。


トオル君がかなりのシスコンであることは確かだけど、漫画によく出てくる過剰なシスコンじゃなく、現実にいそうな程度のシスコンなのがとてもいい。
メグちゃんがかわいらしいおならをした時「メグがへーしたへーした」って大喜びしてるシーンがすごい好き。
兄妹だなーって感じ。
今回は詳しく書かないけど、メグちゃんの可愛さも相当ヤバイレベルだ。抱きしめて頭なでたい。


入院中、トオル君は昔の夢を見る。
自分とメグちゃんと母のハツコさん、三人で暮らしていた頃の夢。
やわらかな光が射しこむダイニングテーブルでいつものようにごはんを食べる、とてもとても穏やかで幸せな夢です。
(なんだっけ 何もなかったんだっけ)
(そうだよ なんにも 心配ない)
このシーンを読むたび、いつもちょっとだけ泣けます。


ハツコさんのことを折にふれて思い出すたび、人目もはばからず大泣きするケンジさん。
対して、それぞれ自分たちの部屋で、一人こっそり涙をこぼすトオル君とメグちゃん。
表への出し方は違っても、思い出を共有する三人が一緒にいるのは、実は至極当たり前のことなのかも。
ケンジさんにとって八木沢家は、「いなければいけない場所」ではなくて「いたい場所」なのだな。
義務感や同情心じゃなくて、今はここにいることしかできないんだ。
後ろ向きな理由ではない、前に踏み出すために必要な期間なんだ。


心があったかくなる、不器用でやさしい作品です。
近しい人を失くしたときや悲しい気持ちになったとき、これからも何度も読み返すと思う。
おお振りでひぐち先生のファンになった方は、ぜひ「家族のそれから」も読みましょう!


同時収録の「ゆくところ」(デビュー作)は、新宿二丁目やゲイの人が出てくる話なので、読む人を若干選ぶかもしれません。
私は好きです。好きだけど、いまだにこの作品をちゃんと理解しきれていないため、語れる言葉を持ちえません。
語れるようになりたいなあ。「ヤサシイワタシ」もいつかもう一度語りたいなあ。


それにしても、トオル君のことが好きだ。
ニックネーム 三森紘子 at 00:22| Comment(3) | TrackBack(0) | 家族のそれから

2007年10月12日

退いたら負け 〜雪乃紗衣「彩雲国物語」十〜十二冊目

1012

「藍より出でて青」
「緑風は刃のごとく」
「青嵐にゆれる月草」


「あれ?」と思われた方は、かなりの彩雲国ファンでいらっしゃる。
そうです、「紅梅は夜に香る」が抜けております。
借りた人に確認したら、どうやら購入自体を抜かしちゃっていたとのこと。
うん…でも…わかるよ…
巻数表示がないのが何もかもいけないんだ!


というわけで、話が飛んじゃうことはわかりきっていたんですが、読んじゃいました☆ガマンできずに。
想像力および妄想力を駆使して読んだら、何とかなりました(…と思う)。


「藍より〜」は、またもや短編が収められた外伝。
表紙の影月の笑顔がすっごくうれしい…ほんとに良かった。こんな風に笑える日がまた来て。
全体的に、龍蓮大活躍の一冊だ。
いい奴なんだよな。怖ろしく常軌を逸しているけど、いい奴なんだよな。
「”少し困り顔”を返せぇええええ」に爆笑した。
静蘭のものすごくイヤそうな顔がいかしてた。
茶州の禿鷹の二人も出てきたし! あーかわいい! かわいいなぁ〜!


その次作品になる「紅梅は〜」を読まずに「緑風は〜」を読んだので、いきなりたくさんの知らない人が出てきていました。
州牧から冗官というヒラの位に落とされた秀麗の挑戦が、再び始まっている模様。
タンタンがいいなぁ〜。こういう普通人の感覚は今まで出てこなかったから、とてもバランスがとれてきたと思う。
これからも活躍してほしい、タンタン。


清雅も好きですよ。本性現わしてからの笑顔が凄いから。
馬車内の清雅と秀麗の対決は凄かった。駆け引きというか、甘さナシのほんとに「対決」だ。


人も事情も、どんどん変わっていくところが好きだ。
でも面白さは変わらない。
主上はどうなるんだろうなぁ…気になるけど続きを貸してもらえるのかどうか微妙だ。
なかなか会えなくなっちゃったからなぁ。


前にもチラッと書きましたが、アニメ版を13話ぐらいまで観てみました。
絳攸がびっくりするほどかわいいんだけど!?
鉄壁の理性はどこにいったんだよ(笑)いじられキャラで定着してるじゃないか。
あと主上も、こんなに甘えんぼさんなんだね。やっと主上のことがわかった気がする。
静蘭の「お嬢様」というセリフが何やらすごくて笑った。
それと、キスシーンが増量していて笑った。



一〜三冊目の感想はこちら
四〜六冊目の感想はこちら
七〜九冊目の感想はこちら
ニックネーム 三森紘子 at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 活字・さ行

2007年10月11日

ナムチャのことか 〜空知英秋「銀魂」20巻

1011

発売日に買っていたのですが、いろいろあってこんなに遅くなってしまいました。
銀魂も早20巻到達。感慨深いですな。
よくぞここまでという感じだ。


こんな作風だけど、描きたいものや伝えたいものをしっかり持っているんだなというのがわかるので、それがジャンプという弱肉強食の世界で生き抜いてきた理由なのかもしれないと思った。
時々「今週はネタがなかったのかな…」と思うときもあったけど。


冒頭は前巻からの続きで真撰組動乱編、銀さんの戦う理由と伊東の最期。
欲しかったものは、気づかなかっただけで本当はずっと前から手にしていた。
自分と彼らとをつなぐ絆(いと)が、確かに見えた。
ありがとうと言った伊東の泣き笑いの表情がすごく好きで、結構長いこと眺めていました。
伊東さん好きだったなぁ。髪型とか(いや、それだけじゃないけど…)。
気づくのが遅くても、最後に気づけたから良かったよね。


そして山崎の扱いヒデェェ!
とってつけたような「実は生きてました」エピソード…不憫すぎる…
まあ、これでこそ山崎なのか…


土方さんは結局オタクのまま固定なのでしょうか。
コマの隅っこで、土方スペシャル団子(マヨネーズがけ)をこっそり食べた神楽が吐いてるのが面白かった。


「ギンタマン」の話は、完全に自虐ネタだなぁ。
「基本 画面が白黒の漫画で 色で特徴を出してどーすんだ!!」には笑った。今さら言っちゃったよ!
うん、銀さん銀髪だけど、白黒だとただの白ヌキ頭だから、白髪とか茶髪とかと見わけがつかなくなっちゃうよね。
担当の大西さん(漫画内では小西さん)は、元ネタの本人を知らないからどうなのかよくわからないけど、こんな風に描かれてよく原稿にOK出したな。
空知さんが自分自身のこともゴリラに描いてるから、それでよしとしたのだろうか。


ちなみに私はドラゴンボー○ではピッ○○さんが一番好きで、その次ぐらいが○ムチャです。
初登場時のト○ンクスとセ○ゲームの時の○飯には恋をしました。


あとは、神楽ちゃんの傘の話が好きだった。
万事屋の三人はやっぱり最強だね。
銀魂は、たまにこういうイイ話を混ぜてきやがるから油断できない。


あー神楽ちゃんかわいいな。
今回表紙の神楽父は、あんなことになってても妙にカッコイイし困る。
それから、眼鏡をとった新八は意外と男前だなぁと、ものっすごく今さらそんなことを思った。


最近アニメのほうは観たり観なかったりだけど、こないだのスペシャル(という名の総集編)はかなり笑わしていただきました。
どんだけやりたい放題! あんなん銀魂じゃなきゃ許されないよ。



1〜16巻の感想はこちら
17巻の感想はこちら
18巻の感想はこちら
19巻の感想はこちら
ニックネーム 三森紘子 at 00:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・か行

2007年10月09日

秋晴れの朝

父方の祖父が亡くなりましたので、お通夜と告別式に参加してまいりました。
6月に母方のほうの祖父を見送ったばかりなのですが、重なるときは重なるものですね。


いろいろ思うところがあって一旦文章にしたんですけど、身内ネタだし読み返すと恥ずかしくなってきたので、割愛します!
がんばって生きたと思う。お疲れさま!!とだけ書いておきます。


忌明けまではまだまだ色々忙しい。喪主の父もだけど、一番大変なのは母だろうなあ…
できるだけ手伝いに帰れればと思います。帰ったことで逆に世話かけそうな気もしますが…


私事で失礼いたしましたm(__)m
明日からまた本の感想等を書きたいと思います。
あ〜くたびれたなぁ。こんなときに限って女の子の日だし。生理痛ほんとどっかいってほしい。
ニックネーム 三森紘子 at 21:32| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記とか

2007年10月06日

アニメ「おおきく振りかぶって」23話を観た。

今日はアニメの日。
私ったら、今日はお休みでしたのに、おお振りをリアルタイムで観るために何も予定を入れなかったんですのよ。おほほ。


でも夕方まではヒマなので、試しに録画した深夜アニメを片っ端から観たり(瀬戸の花嫁が面白かった。もう最終回だけど)、You●ubeで彩雲国アニメ版をはじめから観たり(絳攸がかわいいよ)、洗濯したり近所に食材買いにいったり米を炊いたり昼寝したり妄想したりしていました。
要するに落ち着かなかったのです。
こないだ3週間おあずけだったときより、この2週間が妙に長かった気がする。


今朝の夢も、「実家に帰ってうっかりおお振りの放送を忘れてて絶望し、でも時計の針が進んでいたのでギリギリで間に合い、家にあった新品のビデオテープを強奪して録画した」というような内容だった。
こないだはコミックス9巻が発売されたという夢も見たしね。確かにこの手の中にあったのに、夢だったとは。
はい、長い前置きはこのくらいにしましょう。


おおきく振りかぶって23話「ゲンミツに」の感想です。
今日も長いです。


やぁもう声優さんたちも気合い入りまくり、というか入りすぎ…?
いやいや、だってもう9回だもん! そりゃ気合いも入るわ!


・前回までの試合ダイジェストから
8回終わって、西浦3‐4桐青。
1点ずつ取って、1回ずつ守った両チームの軌跡。
音楽の効果も相まって、気持ちが盛り上がります。
水島監督、メインテーマ使いたいって言ってたもんね。


・応援席
球児に負けず気合い十分の応援団!
松田くんと深見さん(…かな?)、たった2人のブラスバンドも、佳境に入ってますますがんばってます。
攻撃の間だけとはいえ、ずっと演奏を続けるのは相当消耗するだろうになぁ…。すごいよ。
トランペットの上にタオルをかけた下で、ちゃんと指が動いているのが細かい。時々音が外れるのもリアル!
ママさんズも応援の手がそろってる。


・阿部の打席
塁に出る気満々の阿部、吠える。
準さんは速球ストレートで勝負。
2ストライク目を見逃した阿部を見て、ベンチで花井が「打てよいい球!」と思わず呟く。
勝つ気をなくしてない花井、その花井を見て栄口も思いを新たにする。
(ここで欲ばんなきゃウソだ!)っていう栄口のモノローグがいいなぁ。
水谷は、口をパクパク開けているのに声が出てないという芸当をやってますね(笑)


3球目の速球を振り抜いて打った阿部!
タッチの差でセーフ!
根性で一塁を思いっきり走り抜けた阿部、「っしゃあ!」とガッツポーズする阿部、いいよいいよー。
そして、「間に合うぞ!しっかり投げろ!」と声かけする和さんもこっそりいいよいいよー。


・泉の打席
セーフティと見せかけてプッシュ、球はピッチャー横を抜けてセーフ!
「泉はっえーっ!」
泉に限らず、息の切らし具合など、本当に芸が細かいです。
必死さ、真剣さが伝わってくる。


・栄口の打席
和さんの見せ場(三塁へ牽制)! かっこいいい。
迅が痛そうに捕ってます。強い球なんだろう。「お〜」というギャラリーの声。


またもや栄口はバントを狙うが、速さを増している準さんの球をなかなか上手く転がすことができない。
監督のサインを詳しく伝えるため、タイムをとって巣山が「フォークないぞ」と栄口に言いにくる。
フォークでないということは次も速球が来る。自分に転がすことができるのか?
ベンチに戻ろうとする巣山を、思わす呼びとめる栄口。
何を言いたいのか、何を言ってほしいのか、うまく言葉にできないまま、栄口は巣山の手を握る。いつもの瞑想のときのように。


「できっぞ!」とまっすぐこちらを見て言ってくれた巣山に、栄口はどれだけ勇気づけられたことでしょう。
いいシーンだ。いいシーンだなぁ。何度見てもいいなぁ。
巣山頼もしいぜ。


(五割じゃバントの意味ねェ!)
って、ここで間にCM!?
なんかこう、水をさされるというか、まあいいけど。


しっかり見て転がした栄口、バント成功で一死二・三塁!
「できた〜!」ナイバント栄口!


・巣山の打席
強烈にマークされていた田島の打席を次に控え、自分でだけでも点を入れようと意気込む巣山。
しかし、準さんの速球、さらに初めて見るシンカーに手が出ず、三振!
ここは準さんがスゴイというべきだ。
(内野ゴロでも阿部なら帰ってくる!)という巣山のモノローグがとてもいいと思った。
阿部ならやってくれる、という信頼があっての発言だものね。信頼っていいですね。


・田島の打席
ネクストバッターズサークルで、ゆっくりと立ち上がるその男、田島。
すべてを田島に託し、ベンチから力のかぎり声援を送る西浦ナイン。三橋も顔を押しつぶされながら必死で声をかける(だんだん顔に赤みが差していってるのがかわいい)。
振り返った田島は、声援に応えてウィンク!
ひ…ひいいいい! 心臓を射抜かれた!
何すかこのカッコイイ人!
そら花井もネクスト入るの忘れるよ。


あとアウト一つ。準さんは、この打席で試合を終わらせるつもりで投げる。
一球目はファール。二球目はシンカー見逃しストライク。
「田島君がんばれー!」(田島!)「たじまー!打ってくれー!」(田島!頼む!)皆の声を一挙に受けながら、一度伸びあがって構える田島。
(よし!)その目に迷いはない。
和さんが決め球に選んだのは、やはりシンカー。
何度振ってもバットに当たらなかったその球筋。
田島は最後の軌道の変化を、バットのグリップをずらすことで…ついに、打った。


走り出す阿部と泉。
打球はレフトのミット及ばず、落ちる。
二人とも、ホームに帰ってくる。同点、そして勝ち越し。
一塁ベースで田島は握った拳を天に突き上げ、叫んだ。
「うしゃ―――!!!」


うううわあああわああああああ
田島コールよ、いつまでも終わるな。
それぞれの胸に永久に刻みつけようではないか。今日この日の田島の勇姿を。


・和さんと準さん
打たれた準さんに、女房役として完璧ともいえるフォローをする和さん。
その笑顔がまぶしく力強く、この人とバッテリーを組めてよかったと思わせ(準さん)、結婚してくださいと思わせる(これは私)。


・花井の打席
打席に向かう花井の顔が強張っている。
田島はスゴイ。田島のスゴさをいつも間近で見ていて、意識せざるを得ない5番バッターという位置にいる花井。
初球からのシンカーにのまれ、ストレートに手が出せない。
三球三振、スリーアウトチェンジ。
花井の挑戦は、まだ始まったばかりなのだ。


・9回裏
土壇場にきて、西浦5−4桐青。
(このままだと 勝てる)
(オレが 打たれなければ 勝てる)
三橋の、西浦ナインの、桐青ナインの、最後の戦いが始まります。


打って、投げて、捕って、転んで。
ついに。ついに次回、決着。




…田島の回でしたね。今回は本当に。
栄口と巣山の手ギューもすごくよかった。ブルブルきた。
ラストの三橋のキョドリもかわいかったですよ。


ああ、もうすぐ、もうすぐ試合が終わってしまう。
来週あるであろうあのシーンを、私は理性を保ったまま観ることができるだろうか。
ニックネーム 三森紘子 at 21:09| Comment(2) | TrackBack(0) | おお振りアニメ感想

2007年10月05日

レ・フレールのピアノを聴いた。

1005
レ・フレール「アニメ・ド・キャトルマン」


すごい! カッコイー!!


CDで聴いても相当かっこいいけど、これは絶対パフォーマンス込みで聴かないと損だと思う。


探して動画も観ちゃった!
わー! カッコイー!!
兄弟で一台のピアノ弾いてるよ!
二人の腕が交差したりしてるのに弾けちゃってるよ!
鍵盤が踊り出しそうだよ! いやもう踊ってるよ!
ほんとに楽しそうに弾いてるよ!
生で観たーい! ライブ行きたーい!


はぁはぁ、興奮しすぎました。
やっぱりピアノいいよピアノ最高だよ〜。
「よあけのみち」(フランダースの犬OP)ではちゃんと「パトラッシュ!」もピアノで表現されてるんだよ。すごいよ。


買った理由の3割ぐらいは、ジャケットの絵がかっこよかったからなのだけど。
うーん、かっこいい。誰のイラストだろう。


こんな人々が身近にいたら、十中八九惚れてるな。


Anime de Quatre-Mains-アニメ・ド・キャトルマン-
ニックネーム 三森紘子 at 23:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記とか

2007年10月04日

最後の一つも、自力で 〜雪乃紗衣「彩雲国物語」七〜九冊目

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「欠けゆく白銀の砂時計」
「心は藍よりも深く」
「光降る碧の大地」


加速度的に面白ーーい!
泣きどおしだった影月編三冊です。


バイトの後まっすぐ帰りたくない気分だったので、オシャレカフェで読書でもしようとオシャレびとを気取ってみた。
そこで「光降る〜」を読んだのだけど、まったく間違ったことをしてしまった。
これは人がいる場所で読むもんじゃなかったです。
必死でこらえても涙が出そうになって顔が上げられない! なんか一人で感極ってるあぶない人になってしまい、せっかくオシャレびとを気取ったというのに台なしである。(本当にオシャレな人はわざわざ「オシャレ」なんて口にしないものである)
後半は家で読んだので、誰の目を気にすることもなく泣きましたとも。


読み終わった直後はいろいろ感想が浮かんだけど、今となってはなんだか何も言うことはないような気がします。
ああ、ちゃんとしなきゃ、と思った。
私、自分一人のことすら満足にできていないけど、ちゃんと生きようと思いました。
とりあえずは目下の問題を片づけるぞ。


切開手術のくだりは圧巻の一言。今も思い出すだけで鼻の奥がツンとして目頭が熱くなってくる。
自分にできることを精一杯やりつくす人々。
影月、本当によかった。本当に本当によかった。
明日も無事でいられるなんて誰にも約束できないけど…それでも誰かとの約束を胸に抱いてるからこそ笑って生きていけるんだ。


玖琅はこんな顔をしていたのか! 渋ーい!
飲み比べをする秀麗がかっこいい。
龍蓮の株、ぐぐんと上がった。
絳攸と秀麗。それもアリだなぁいいかもなぁ。この二人のツーショットはニヤニヤする。


巻を重ねるにつれて、どんどん面白くなっていってるのですごい!
どっちかというと、あまりにも人気のある作品は穿った目で見てしまいがちですが、これは人気が出るのも当然すぎるくらい当然だ。
ほんとに面白いもの! 読めて幸せだなぁ。



一〜三冊目の感想はこちら
四〜六冊目の感想はこちら
ニックネーム 三森紘子 at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 活字・さ行

2007年10月03日

恋という字は変に似ている 〜西炯子「ひらひらひゅ〜ん」1巻

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だからいいかげん衝動買いをやめろと。


でも、最近そこまでハズレのものに当たってないのですよ。
私の目が肥えたのか、面白い作品が増えたのか。いやそれよりも、ネットで前評判をチェックできるのが大きいかな。
便利な世の中になったもんだ。


「ひらひらひゅ〜ん」は、この力が抜けていきそうなタイトルが気になったのと、良い評判の声をちらほら聞いていたのと、あと「弓道っていいよね…」という個人的な理由から買うに至りました。
西炯子さんの名前は以前から知っていたけど、表紙の絵にあまり惹かれず…というかどちらかというと苦手で…今までも気になるタイトルの本はあったのに、手を出さずに今日まで来ました。
読んでみたら意外といけた…苦手なのはカラー絵だけで、白黒の本文はむしろ好きでした(部長の顔だけはどうも苦手だけど)。
やっぱり、食わず嫌いはいけない!


内容とは関係ないけど、コマの枠線がすべてフリーハンド!というのがちょっと衝撃。
だから柔らかい雰囲気になっているのかな。


県立開開(ひらひら)高校弓道部を舞台にした連作短編のようなお話。
登場人物は大体固定ではあるが、一話ごとに違うキャラクターが主人公になるスタイルみたいです。
みんな恋したり嫉妬したり、弓道やったりしています。


イチオシは宝代くんです。
彼は川畑さんという美少女のことが好きで好きで、好きすぎるあまり彼女になりきって、彼女自身の日記を書き続けています(筆跡まで似せて)。
どう考えても変態です。
しかし、なんという愛すべき変態でしょう。
自分がされたら確実に引くけど、でも川畑さんのような天然っ子にはこれぐらいがちょうど良いのだろう。


一番好きなキャラクターは健一です。
第一話は彼が主人公で、気になるかわいい女の子がいるんだけどその子の双子の兄も同じ顔でかわいくて、告白しろよと友人にたきつけられたものの、え、どっちに告白したらいいの? と悩むお話です。
悩むなよ! とツッコミたいが、二話以降の彼は普段の冷静さを取り戻しているので、諦めたのか玉砕したのか折り合いをつけたのか、そのへんの続きはこの先描かれるのか、気になるところ。
それから智和の屈折した愛情表現と、健一の友情表現にはホロっときてしまった。
「恋だったのかなあ…」「…違うと思うけど」という会話、どっちがどっちの台詞を言ってるかによって印象が変わるなぁと思った。どうなんだろう。


健一はかっこいいよ。
見返りを期待したり自分の株を上げるためではなく、掛け値なしに友人のために怒ることができる人は素敵だと思う。


あとは、部活のシーンが美しい。
弓道には全然詳しくないし、やったこともないけど、たまに長〜い獲物(たぶん弓)を持った学生を見かけたりすると、ああいいなぁ…と思う。
的を見据える堀口くんの横顔は、下堂薗さんでなくとも惚れ惚れする。
袴もいい。男が着ても女が着ても凛々しい! すばらしい!


これは続きも買おうと思います。
ニックネーム 三森紘子 at 15:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・は行

2007年10月01日

約束みたいにまた出会おう 〜鈴木志保「船を建てる」上下巻

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気になるものはとりあえず買ってしまう悪い虫が、このごろよく騒いでいる。
この「船を建てる」も、本屋で見かけて(少しは間をおいたけど)そのまま吸い寄せられるように購入したものです。
絶版になっていた作品が、寄せられた多くの声に支えられてめでたく復刊したのだそうです。


ページを開いてまず驚くのは、紙面のデザイン的な美しさ。
どのページを切り取っても、ポスターの役目を充分果たしそう。
近しい雰囲気のもので、パッと思いつくのは楠本まきかなぁ。
この優れた美的感覚に拠った画面構成だけをとっても、絶版で埋もれさせておくにはあまりにも惜しいと思います。復刊して良かった。
漫画は娯楽であると同時に芸術である、という認識をあらたにしました。


加えて、文学や映画や音楽などのおしゃれカルチャーへのオマージュが、そこかしこにちりばめられているのだと思います。
ですが、私はそういったおしゃれカルチャーに縁がないため、オマージュに気づかず読んでいそうです。
ずいぶん損をしているのだろうなぁ。
ド○フターズの話だけはかろうじてわかった。
ド○フをこんだけおしゃれに表現することができるのって、むちゃくちゃすごい。


主人公(?)は、「煙草」「コーヒー」という名の、2匹のアシカ。
彼らはとても仲良しで、いつも一緒にいる。
続いていく日常は、同じなようでいて毎日すこしずつ変わっていく。


胸がじんわりあたたかくなる話、とぼけた話やコミカルな話もあり、コロコロと笑うアシカたちはとっても愛らしい。
なのに、どこか崩壊を受け入れているような終末感が作品の全体を覆っている。
その理由は、下巻ラストにさしかかるにつれて、物語のカラクリとともに次第に明らかになっていく。


読めば読むほど、この物語の内包するものの深さに気づかされる。
親切な描き方はされていないので、一度読んだくらいではよくわからない。
じっくり腰を据えて読みたい、大人のための漫画だと思う。
こんな作品が連載されていた「ぶ〜け」は、すごい雑誌だったんだなぁと今さら思う。
子どもの頃は大人っぽ過ぎるラインナップに敬遠していたのだけど。



「そうさ パーティーは いつか 終わるけれど」
「終わるから また パーティー しましょ」



たくさんのさよならに満ちたこの世界で、お別れした人と、またいつかどこかで出会うことができるのだろうか。


ほんとうに?


ほんとうに?


「100年たったら、だあれもいない」。
さよならはかなしいことではないの?
でも、かなしいものはかなしいよ。


出会ってしまったから、
なかったことになんてとてもできないから、
何度壊れても、何度沈んでも、
何度でも何度でも、船を建てよう。



秋の夜は感傷的になってしまって困ります。
東京事変の「私生活」を聴きながら感想を書いてたら相乗効果でとめどなく涙が…アホですな。
ニックネーム 三森紘子 at 21:55| Comment(0) | TrackBack(0) | 漫画・は行