2008年08月12日

成長痛 〜海野つなみ「回転銀河」5巻



密かに大好きだったこのシリーズ、復活してくれてめちゃんこうれしいです。
各話ごとに視点の入れ替わるオムニバスという構成がどストライクであるうえに、それぞれの秘めた思いが浮き彫りになっていくのだけれどシリアスになりすぎず、作品全体にのほほんとした空気が一貫して流れていたりするところに、惚れています。
表紙も毎回素敵なんだけど、5巻もまた素敵! 何気ない、他愛ない日常風景に潜むドラマチック!(笑)


「成長には痛みが伴うもの。甘い痛みも含めて。」
と、作者コメントで海野先生はおっしゃっていますが、ならばこの作品は成長途上な少年少女の成長痛の記録でもあるのか。


悪魔のように美しい天野兄弟(双子)に憧れて、髪型も持ち物も真似をして、友だちとしてふるまっても全く相手にされなくて、挙句、天野の権力によって転校させられるハメになった松崎少年の話(「最後の日」)は、ほんとに痛々しいというかなんというかな話なんだけど、5巻の中では一番好きである。
「友情にも片思いってあるんだね…」とは、『フラワーオブライフ』(よしながふみ著)での坂井さんの言葉ですが、松崎の双子に対する感情は、まさしく一方通行の片思いでした。
ただ好きだったんだよなあ。彼らのようになりたくて、彼らと仲良くなりたくて、でも松崎のプライドは、彼らに存在自体を否定されたことでその感情を憎悪にすり替えた。


「愛情も憎悪も 最後まで彼らには何一つ届かなかった」
徹底的にうちのめされて、屋上で一人泣く松崎。最初から最後までが、独り相撲だった松崎。
ブラックホールのように最後は爆発して、そして新たな星として生まれなおすことができたんだろうか?
何年か後に、「あ〜もうあの頃の俺のことは頼むから忘れて! 死ぬほどカンチガイ野郎だったから!」と赤面して騒ぐことができるくらい、大人になっていられたらいいのにね。


それに、ちょっとは私も覚えがあるんだよね…恥ずかしいことに。
子どもの頃、ある人に憧れて、その人が身に付けたり使ってるものが全部魅力的に見えて、そんなつもりないけど偶然…とか言い訳しながら真似っこしてたときが。
相手にしてみればうっとおしい以外の何物でもなかっただろうけど、今にして思うとなんて不器用な愛情表現であったことよ。
ああいうのは程々にしといたほうがいいですね。


「クロニクル」は、どこかで見たような人たちが出てきたなぁ…? と思っていたら、「デイジー*ラック」の人たちだったのですね! な〜つかしい!
ミチルと貴大のあのキスシーンは当時ムチャクチャときめいたので、貴大視点でまた見ることができてよかった〜。
手芸部部長の話も、痛みを痛みのまま、美化せずに描いてあるところが好き。部長ってば乙女。


あとがきによると6巻も出るらしいので、今からウキウキです。
和倉ちゃんと天野兄がとうとうどうにかなるらしくて、すっごい気になる。でもきっと甘い展開にはならないんだろうな〜。



↓せっかくだから既刊の表紙も全部並べとこ(笑)





ニックネーム 三森紘子 at 00:12| Comment(4) | TrackBack(1) | 漫画・か行
この記事へのコメント
こんにちは!
今回回転銀河ということでコメントさせていただきにまいりましたッwww
なにを隠そうあたしも大好きな漫画だからです。
なんていうか群集劇ってツボなのかもしれません。

相手の立場なんて100パーセントわかるわけない。
だからこそ、かかわりがかかわりを呼んで今がなりたってるっていうのにすごく魅力を覚えます。
日本語へんですが・・・w

っとこの、ふらふらーな年齢もいいですよね^^

勢いでコメントさせていただきましたw
素敵な感想ありがとうございます★
それでは失礼いたします!
Posted by 春 at 2008年08月12日 21:11
春さんへ

こんにちは、コメントありがとうございます☆
春さんも「回転銀河」お好きだったんですね!わーいわーい♪うれしいです^^

そうそう、私も群衆劇っておそろしくツボなんですよ(笑)
それぞれの人間がそれぞれの立場や感情を持ってるということを、フィクションだと客観的に見ることができて、とても興味深いし考えさせられます。
「ふらふらーな年齢」っていうのも何となくわかる気がします。この不安定な感じがぞくぞくしますよね(笑)

こちらこそ、素敵なコメントありがとうございました!それではまた☆

Posted by 三森紘子 at 2008年08月13日 00:36
こんにちは。わたしも回転銀河の復活に小躍りしたひとりです( ̄▽ ̄)

各話ごとに視点の入れ替わるオムニバス、それ登場人物がすこしずつリンクしている展開がたまりません。
「最後の日」では、うざいサブキャラだった松崎を視点を変えてみるとこうも変わるのか…と驚きながら読みました。こういった視点の展開が「回転銀河」の魅力のひとつかもしれませんね。
6巻では池上&須磨カップルのその後も読みたいですね。
Posted by 日月 at 2008年08月14日 21:49
日月さんへ

こんにちは!コメントとトラックバックありがとうございます!
そうですよね、松崎はほんとにうざいだけの脇役という感じでの初登場でしたが、彼は彼なりに思うことがあったんだというのを知ることができただけでも、この話を読めてよかったと思いました。

>池上&須磨カップルのその後
読みたいですねー!
5巻の表紙カバーも、広げてみると二人が背中合わせに立っていて、ちょっと意味深でドキドキしてしまいました(笑)

日月さんのご感想も、また拝見させていただきます^^

Posted by 三森紘子 at 2008年08月17日 14:20
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