
…藤田先生の新刊! きゃっほーう!
つや消しの、重厚な書物を思わせる装丁が書店の棚でも異彩を放つ。帯も凝ってる。
わくわくが止まらなくって、読み始める前からなでたりさすったり眺めたり、楽しませていただきました。
舞台は19世紀のロンドン。
犯罪捜査の証拠品が収められているという「黒博物館(ブラック・ミュージアム)」で、学芸員(キュレーター)に案内されたどり着いた場所。
そこに展示されていたのは、かつて巷を騒がせた怪人「バネ足ジャック」の左足だった。
それを見学に来た男の口から語られる、バネ足ジャックについての話。
バネ足ジャックとは何者だったのか。いかにして現れ、いかにして退場したか。
放蕩貴族の青年、腕っ節の強い警部、機械工学の天才、そして芯の強く美しい一人の女性。
謎の怪人、連続殺人、事件の裏に隠された切ない片思い。
役者は揃った。お膳立ては整った。
あとはただ、藤田和日郎の紡ぎ出す夢に酔いしれればいい。
藤田先生の漫画を読むといつも、観客席に座ってお芝居を観ているような気持ちになります。
それも昼日中ではない、夜に上演されるのがふさわしい極上の演目です。
藤田先生自身も、そういう芝居がかったのが好きで、わざとしてるんだと思う。
照明が落ちて、真っ暗な中でこれから始まる面白い出来事をどきどきわくわくしながら待つあの昂楊感。
幕が上がってからは、大団円まで、幕が下りるその瞬間まで、とにかく楽しむだけです。
バネ足ジャックが、とにかく格好いいんだよなぁ…
何でもロンドンに実在した都市伝説だそうで、犯人のモデルもいるということで。すげえなぁロンドン。
ロッケンフィールド警部も素敵だ。
フランシス・ボーモンの狂気の形相も好きだ。藤田先生の描くこういうキャラクターって、何というかほんとに容赦なくヤバい。
「スプリンガルド」の後日談、「マザア・グウス」も収録。
こちらも胸躍るボーイミーツガールなお話で、ラストは幸せな気持ちになる。
マザーグースの詩がすごく効果的に引用されています。私も谷川俊太郎の訳のが好きだな。
このシリーズ、続編があるらしくって嬉しくってたまりません。
案内役の、とおぉっても可愛らしいキュレーターさんにまた会えるのかぁ。
冷たい横顔の美人かと思いきや、あのような茶目っ気のある表情を見せられては虜になるしかない。
「マザア・グウス」ラストページの表情が大好き! もう、大っ好き!
胸をときめかせながら次の新刊を待っております。
藤田先生、また私に極上の夢を見せてください。
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