
映画を観る前に再読、間に合った〜。
ハードカバーの装丁もカッコ良かったけど、文庫版の表紙もカッコ良い。クール! お洒落!
基本カラーが青なのは「雨」の青なのかなぁ。
主人公の名は千葉。職業は「死神」。
これから死ぬ予定の人間を一週間調査し、「可」か「見送り」かの判断をくだすのが仕事。
何よりも大好きなのは、人間の作ったミュージック。CDショップが行きつけの場所。
重度の雨男で、晴れた空を見たことがない。
場合に応じて様々な姿で人間界を訪れる千葉と、彼にとって調査対象である人間たちとの、奇妙で、しかしどこかあたたかい6つのお話。
死神の千葉の魅力がとても大きい。
何しろ彼は人間ではないので、人間の価値観というのが当てはまりません。
死を与えるのが仕事なわけだから、人間の命を大切に思うこともなく、死にゆく人間に対して感慨も抱かない。
だから、大抵の仕事は「可」、すなわち「死んでよし」の判断をくだす。
例外的に「見送り」とした場合もあって、でもそれは対象者が未来の名歌手になる可能性を秘めていたからだというのが面白い。
死神にとっては完全に「ミュージック>人間」であるわけです。
人間側としてはたまったもんじゃないけれど、仕方ないのだ、彼は死神なんだもの。
そんなこんなで非常に浮世離れしている千葉は、一応人間の言葉は話せるのだけど、会話はどこか噛み合わない(容姿に自信のない女性に「わたし、醜いんです」と言われ、「いや、見やすい。見にくくはない」と大真面目に答えたり)。
中でも「旅路を死神」での、森岡という若者(こいつがまた憎めないカワイイやつである)との会話の噛み合わなさは最強で、本人たちは真剣なのにめちゃくちゃ愉快です。
伊坂作品の魅力のひとつに会話の楽しさというのがあると思うのだけど、この作品は特に会話がとぼけた雰囲気を生んでいて、生き死にに関する話なのに深刻にならず、過剰に悲愴さも出ず、ファンタジックなお伽噺を読んでいるよう。
まあ、死神とか出てくる時点で思いっきりファンタジーの範疇なんでしょうが…
人の死に興味のない千葉が見つめる、人々の人生。
ありふれていたり、愚かだったり、悲劇だったりするそれらの人生が、千葉というフィルターを通すことで、また違った輝きを放ち始める。
千葉にしかわからない、物語に仕掛けられたちょっとした驚き。感動と呼び変えてもよいかもしれない。
そしてそれに対し、少し立ち止まるだけですぐに通り過ぎていってしまう千葉が語り手だからこそ、読者は存分にニンマリできるのだと思う。
ラストのお話「死神対老女」での驚きは、ほんとに「ちょっとしたこと」なのだけど、なんだか妙にハッピーな気持ちにさせてくれるのです。
ちょうど、雨だと思ってカーテンを開けたら、そこに青空が広がっていたときみたいに。
「重力ピエロ」に出てくる春らしき人物も途中で登場するので、伊坂ファンはさらにニンマリできます。
映画では「上司が犬(しゃべる)」らしいので、さらにファンタジックな雰囲気になってるのかも。
金城武は「二枚目」より「二枚目半」の役のほうが合うと常々思っているので、この千葉さんなどはハマリ役なんじゃないかなぁ。
でも期待しすぎてもアレなので、できるだけフラットな気持ちで観に行きたいと思います。楽しみ。







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